連載小説 追憶の旅     「第4章  別れのとき」
                                 作:夢野 仲夫

「第4章  別れのとき」

    (本文) 「恵理との小旅行」

 別れの時106 通算1071
 「エッチねぇ、リョウ君。そんなこと口にしないものなの。」
 「わ 〜い、また、恵里が困っている。」
 「リョウ君はホントに子どもねぇ…。リョウ君、少し目が腫(は)れてない?昨夜、よく眠ったの?」毎日彼を見ている恵里は鋭かった。彼の睡眠不足を見破っていた。
 「昨夜のうちにやっておかなければならないことがあったので、ほんの少しだけ睡眠不足かな?」
 「仕事のし過ぎでしょ。無理しないで…。」
 「分かっているけど…。」

 別れの時107 通算1072
 「眠気覚ましをしたいなぁ。」
 「どうするの?」良はスカートの上から恵里の膝を軽くさすった。
 「ダメ!リョウ君ダメよ!エッチなんだから…。」
 「眠気覚まし、眠気覚まし…。」
 「もう、リョウ君ったら…。」彼の左手が太腿近くに伸びると、必死で手を払おうとした。
 「少しだけ眠気が覚めたかなぁ。スカートの中に手を入れたらバッチリ目が覚めるけどなぁ。」
 「リョウ君のエッチ、スケベー、変態!」
 「もっと言って、その褒8ほ)め言葉。」

 別れの時108 通算1073
 「もう、話にならない。リョウ君嫌い!」
 「あ 〜あ、恵里に嫌われちゃった。あ 〜あ。」良はわざと情けなさそうなため息を漏らした。 最初はクスクス笑っていた恵里が声を上げて笑った。
 「受けたぁ、恵里?」
 「わたしの方がため息が出そう。ムードのないデートね。あ 〜あ。」これには良も声を上げて笑った。
 良が手を握り締めると、恵里は真剣な表情で握り返した。

 別れの時109 通算1074
 「恵里、眠っていいよ。気に入った街があったら、そこで車を止めて起こしてあげる。」
 「いいの、リョウ君との思い出のドライブに寝るなんてできない。」 良は恵里の手を自分の膝の上に導いた。
 彼が太腿近くに寄せても、彼女の手は逃げなかった。手を微かに動かせると何をして欲しいか理解した。恵里は恥ずかしそうに、良の太腿をさすった。彼の下半身にわずかに触れるとビクッと驚いた様子を示した。

 別れの時110 通算1075
 しかし、同じ動作を繰り返した。車の中にはデート特有の雰囲気が流れた。何回も繰り返すうちに恵里は良のそれに触れることに驚かなくなっていた。
 「気持ちいい、リョウ君?わたし、下手でごめんなさい。こんなことしたこと一度もないから…。」
 「君の優しい気持ちが伝わってくる。それが嬉しくて。」
 「リョウ君好き、リョウ君大好き!」良の喜ぶのが嬉しいのか、彼女の手は少しずつ大胆になっていった。

 別れの時111 通算1076
 「恵里に教えていいのだろうか?」良の心の片隅にはどこかそれを否定するものがあった。
 美津子と同じような禍根(かこん)を残すのではないかと…。
 「うふ、リョウ君。感じているのね…。」子どものようにはしゃぐ恵里に一抹の不安を感じていた。気持ちが沈んだ良の下半身は反応が鈍くなった。良の暗い表情にも気づいたようだった。
 「リョ君どうしたの?暗い顔をして…。」

 別れの時112 通算1077
 「いつか君が好きな人ができたとき、彼が君を遊び人と思わないかと心配している…。」
「みんな遊んでいるわ。何人もの人と…。リョウ君は知らないの?わたしや美紀は例外なの。」 「…。」
 「それに…。」「それに?」
 「リョウ君の喜ぶのがわたし嬉しいの。わたしの大好きな人だもの…。心配しないで…。」 恵里はさらに大胆になった。彼の下半身を軽く握ることも辞さなくなっていた。

 別れの時113 通算1078
 「恵里、感じすぎて運転できないよ。」
 「うふ、うれしい!リョウ君!」 良は恵里の膝に手を当てて、スカートの下に手を入れようとした。
 「恥ずかしい、止めて!」手を払いのけようとしたが、その力は弱かった。良はかまわず彼女の太腿に触れた。 恥ずかしそうに恵里は顔を赤らめた。ショーツの近くに良の手が近づいたとき、良の手を握って触れさせまいとした。
 「危ないでしょ、リョウ君!運転に集中して!」

 別れの時114 通算1079
 「わたしの好きなようにさせて…。こんな想い出は二度とないかもしれないもの…。」 彼女は良の下半身をしっかり握り、その反応を確かめる動きを示した。あの控えめで清楚な恵里の大胆な行為に良は驚きを隠せなかった。
 「うふ、リョウ君、気持ちいい?」恵里は良の喜ぶ横顔を見て幸せそうに微笑んでいた。 
「恵里、君も感じている?」
 「はい、リョウ君の感じている顔を見るとわたしも体がジンジンするの…。何か変な感じなの。」

 別れの時115 通算1080
 良は車を通行に邪魔にならない路肩に止めた。
 「リョウ君、どうしたの?」彼は黙って恵里にキスした。急を突かれて一瞬驚いた様子であったが、恵里はうっとりした表情をした。 彼は彼女のショーツに触れた。
 「ああ、ダメよ、リョウ君。外から見られるじゃないの。」 抵抗をした恵里にかまわず、良はショーツの上から秘部に軽く触れた。 ショーツには明らかな湿り気があった。
 「止めて、リョウ君!」彼女の拒否に良は従った。

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       第4章 別れのとき(BN)
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