連載小説 追憶の旅     「第4章  別れのとき」
                                 作:夢野 仲夫

「第4章  別れのとき」

    (本文) 「恵理の初めての経験」

 別れの時166 通算1131
 翌朝、半ば夢心地のとき、良は下半身に女性の体の中に入っているようなぬめりを感じた。寝ぼけ眼で何となく下半身を見ると、恵里が彼のそれをもてあそんでいた。
 良は目を疑った。夢か現の区別がつかないまま、彼はじっと快感に身を委ねていた。 慣れない恵里の動きではあったが、良にはそれが逆に恵里への気持ちを募らせた。
 ときどき軽く唇で触れていた。
 「ああ、眠い…。」目を覚ましそうに感じた恵里は、慌てて良に添い寝をしようとした。

 別れの時167 通算1132
 「恵里、そのまま続けて…。」
 「リョウ君、起きていたの?いつ目が覚めたの?」
 「たった今。」
 「恥ずかしい…。寝ていると思ってたのに…。」
 「恵里、もっとして…。」言われるままに恵里は再び良の下半身を手と口で弄8もてあそ)んだ。
 「ありがとう、恵里…。こちらにおいで。」
 「はい。」恵里は素直に従って、良に添い寝をした。
 「なぜ、恵里は…?」
 「…雑誌にも、お口ですると、男の人が悦ぶって書いてあるの。それに友達もそう言っているわ。」

 別れの時168 通算1133
 「リョウ君が眠っている間に練習しようと思って…。」 恵里はサービス精神旺盛な女性であった。
 自分だけの快楽を求める女性、ほとんどマグロ状態の女性、男性が悦ぶなら何でも奉仕する女性−それらのタイプは生来の気質のようである。
 恵里は昔風な表現を借りれば、生来「床上手」の女性なのであろうか?
 「練習なんかしなくていい。相手に対する気持ちがあれば、恵里はきっと上手になる…。」言いながらも良はどこかに恐れを抱いていた。

 別れの時169 通算1134
 「若い女性が上手になっていいのかい?」その不安を口にした。
 「リョウ君は知らないのよ。女同士で男子の話をするとセックスの話になるの。みんな経験豊富で、リョウ君が聞いたら、驚くような話をするのよ。」
 「男の品定めか…。」
 「そうよ、リョウ君は腰を抜かすかも。」
 「うちの社員はそんなことはないだろう?」
 「バカね、リョウ君…。虫も殺さないような顔をして、みんな遊んでいるわ。」

 別れの時170 通算1135
 「だから、二十五にもなって何も知らない私は、コンプレックスを持っていたの。」良には驚きであった。週刊誌で書かれている以上に現実は進んでいたのだ。
 「そんな話になったとき、恵里はどうしている?」
 「わたしは黙って聞いているだけ…。」
 「君のことを聞かれない?」
 「聞かれても曖昧な答えをしておくの…。だって、バカにされるから。」
 「紺野君は?」

 別れの時171 通算1136
 「美紀はそんな話になったとき、『バ 〜カみたい!』と上から目線だから、自分たちよりずっと経験豊富に思われているみたい。」良は笑ってしまった。
 「紺野君らしいな。」
 「わたし、あんな風にはできないもの。美紀は経験あるから言えるのよ。」
 「恵里。」「はい。」
 「今度はお返し。」 良は唇を形のいい乳房に這わせた。
 今まで饒舌(じょうぜつ)だった恵里が急に寡黙(かもく)になり、悦びの声を漏(も)らした。良の舌は下半身に移った。

 別れの時172 通算1137
 恵里は良のなすがままに身を委ねていた。彼女の秘部はグッショリ濡れていた。舌が這うと「トロけそう、ああ、トロけそう…。」彼女は快感に酔っていた。
 良が身体を起こして恵里に重なった。恵里は良を受け入れる体制を整えていた。
 「リョウ君、こんどこそは…お願い…。」恵里は強い意志を示した。
 彼は彼女の身体をそろりと貫いた。そして、ゆっくり腰を動かした。

 別れの時173 通算1138
 「ああ、ああ…。」恵里の表情からは、痛みとも快感とも分からなかった。 良は動きを早めて、彼女の体の中に放出した。
 「う 〜ん」−恵里はそれが分かったのであろうか? 添い寝をして、恵里を胸を撫でながら「恵里、ステキだったよ。」
 「ホント?うれしいっ!不安だったの。」
 「何が?」
 「わたしの体では、リョウ君は満足できないのかもしれない…。男の人を喜ばせられない体かもしれない、って…。」

 別れの時174 通算1139
 「そんなことを心配していたのか。バカだなぁ。とても気持ち良かったよ。俺の方が君の体に溺(おぼ)れそうになる。」
 「ホントね。じゃ、溺(おぼ)れて…、うふ。」下半身に手が伸びても、恵里は逆に触れやすいように体を開いた。彼は濡れた彼女の秘部を弄(もてあそ)んだ。
 「あ 〜ん、ダメ、感じるぅ…。」
 「恵里は助平な体だなぁ…。」
 「だってぇ、リョウ君が感じさせるんだもの…。」二人は睦言(むつごと)を重ねた。
 「リョウ君にお願いがあるの。」
 「なに?」

 別れの時175 通算1140
 「もっと教えてね。他の人にバカにされないように、わたしにいろいろ教えて…。」
 「…。」
 「だって、わたし、スタートラインに立っただけだもの…。」
 「…。」
 「イヤなの?リョウ君。わたしが相手ではイヤなの?」
 「そんなことはない…だけど、お互いに別れの日が来たとき…。」
 「別れの日なんて言わないで。わたしはリョウ君が好きなの…。その日が来たときには、わたしにっこり笑って分かれるから…。」

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